兎角日記〜語彙力育成方法の提案〜

兎角日記

こんにちは。
二タ見宇兎丸です。
夜にはちらほらと秋の虫の声が聞こえてきましたが、
この長雨が体力をじわじわと蝕んでいる気がします。

いやはや、一つの季節が長く続くと、冒頭の挨拶文を考えるのもなかなか大変です。
基本的には季節にちなんだ話をしようと努力しているのですが、
たまにどうしても日常の話になってしまいます。
まあ、それもご愛嬌ということでお願いします。

さて。
やはり語彙力は大切ですね。
比較的歳の近い人と比べても、なんなら少し年上の方と比べても、
僕は語彙力や言語化能力が高い方だと思います。

特に喋り言葉は立て板に水です。
母からは多弁を超えて雄弁を通り過ぎ、とうとう「詭弁」とまで言われてしまいます。
(言語化能力+合理至上主義)−道徳心
=詭弁、ペテン
となってしまうのでしょうか。

以前受けたWAIS-IVでは、言語理解の数値が125と比較的高く、
反対にワーキングメモリーは80前後と、かなり差がありました。
書き言葉になると喋る時ほどスラスラいかないことには、
このあたりも何か関係しているのかもしれません。

一方で、難しい言葉がぽんぽん出てきたり、
言い間違いや言葉の使い方の違和感にすぐ気づいたりするのは、僕の得意な部分なのでしょう。
もちろん、生まれ持った特性も関係していると思います。
しかし、それだけでもない。

今回は、友人から「歩く辞書」と呼ばれた二タ見宇兎丸おすすめの、
語彙力育成方法を紹介してみようと思います。

僕の母は、言葉、ひいては国語や文学に造詣が深い人です。
国文科卒、国語科教員免許保持者の、ど文系です。
ですので、母による僕への日本語教育は、
他の家庭と比べても少し早かったのではないかと思います。

母に言わせれば、「これぐらい普通」
だそうですが。
文字を書くことは非常に苦手だった僕ですが、話すことは得意でした。
その日、幼稚園や学校であった出来事をかなり細かく説明できました。

食事療法の関係で、自分が何を食べたのか、
何があったのかを説明する必要があったことも、多少は関係しているかもしれません。

主治医にも驚かれるほどよく喋る子供だったそうです。
母としては、それをさらに伸ばしたかったのかもしれません。
あるいは単純に、少しでも早く「話のできるやつ」
に育てたかったのかもしれないな、と今では思います。

というわけで、小学校1、2年生頃から、我が家の語彙力育成が始まりました。
方法は簡単です。
1:国語辞典、ストップウォッチ、付箋を用意する。
2:母が出題した単語を辞書で調べる。
3:単語と、見つけるまでにかかった時間を付箋に記録して、そのページに貼る。
4:意味と例文を音読する。
これを1日3〜5単語ほど行います。

最初は小学生向けの小さな国語辞典でした。
しかし後半になると、広辞苑のような巨大な辞書を抱えていたのを覚えています。

僕は、この学習法ではストップウォッチを使ったタイムアタックが
かなり重要だったと思っています。
「昨日より速かった」
「この言葉はすぐ見つかった」
と、結果が明確に数字で出ます。
勉強というより、ちょっとしたゲームです。

記録が数字で見えると、達成感もありますし、
「もっと速く引きたい」という気持ちも湧いてきます。
ただし、これだけで僕の語彙力が培われたわけではないでしょう。

この学習をしていた時期――というか、ほぼ現在まで一貫して、
母は言葉の意味を僕に簡単には教えませんでした。

子供との会話でよくある、
「〇〇ってどういう意味?」
という質問。

それに対して母は、ほぼ必ず、
「自分で調べてー。わかったら教えてね」
と返しました。

そのたびに僕は辞書を引きます。
そして、
「こんな意味だった!」
と母に報告します。

すると、そこからまた話が始まります。
例文を作ってみたり。
どんな場面で使う言葉なのか考えてみたり。
同じページに載っていた変な言葉を見つけたり。
似た言葉との違いを話したり。
何でもいいのです。

「辞書を引いて正解を確認して終わり」ではなく、
調べた言葉を材料にして、もう一度遊びます。
振り返ってみると、僕にとって重要だったのは、こちらだったのかもしれません。

言葉を覚えることそのものではなく、
調べる。
見つける。
使う。
話す。
また別の言葉に出会う。
という循環が、日常の中にあったのです。

そんな我が家の辞書修行が終わったのは、
僕が広辞苑で言葉を調べる速さで母に勝てるようになった時でした。
もちろん、一度のまぐれではありません。
複数回、安定して勝てるようになってから免許皆伝です。

なお、競争相手である母はスマホで検索しています。
今なら検索すれば、ほぼタイムラグなしで一番上に意味が表示されます。
しかし当時は、今よりもう少し時間がかかりました。
少なくとも、当時の我が家のWi-Fiでは。
それでも数秒程度だったでしょうか。

対する僕は、巨大な広辞苑です。
紙です。
物理です。
ページをめくります。

そして勝ちました。
何度か。
こうして見事免許皆伝となり、僕の装備は電子辞書へと進化しました。
この電子辞書が、孤独だった中学生時代の僕にとって最大の友人になります。

いかがでしたか?

語彙力を伸ばす方法として、たくさん本を読むことも、
知らない言葉を書き留めることも、もちろん良いと思います。

でも僕自身の経験から一つ提案するなら、
「辞書を引くこと自体を遊びにする」
という方法もおすすめです。

速さを競ってもいい。
面白い言葉を探してもいい。
変な例文を作ってもいい。
知ったばかりの言葉を、わざと会話で使ってみてもいい。

言葉は覚えるだけではなく、使って遊べます。
今でも僕は、
「〇〇ってどういう意味?」と母に聞きます。

ただし、昔とは少し違います。
今は先に自分で調べてから聞きます。
辞書に書かれている意味はわかった。
では、実際に人はこの言葉をどんなニュアンスで受け取るのだろう。
それを知りたくて、母に聞くのです。

僕にとって母は、辞書を引いた後に使う、もう一つの辞書なのかもしれません。
母には頭が上がりません。
これからもいっぱい話して、いっぱい調べて、言葉を使って遊びたいです。

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